「毎日何を作ればいいのか、本当に悩む」

「市販の介護食も種類が多すぎて、どれを買えばいいのか分からない」

在宅介護を始めたばかりの方から、こういうご相談をよく受けます。高齢者の食事は「やわらかければいい」「薄味にすればいい」というわけではなく、その方の「食べる力」に合わせた食事選びが必要です。

この記事では、管理栄養士・JSDR認定士として、高齢者の食事を選ぶための基本の考え方を5つのステップでお伝えします。


まず結論:「食べる力の確認」→「食形態の選択」→「栄養の確保」の順で考えましょう

難しく考えなくても大丈夫です。この順番で考えると、今何をすべきかが整理できます。


ステップ1:「食べる力」を確認する

まず、今の状態を確認しましょう。以下の4つを見てみてください。

確認項目チェックポイント
噛む力硬いものを噛めるか。義歯は合っているか
飲み込む力むせが多くないか。食後に声がガラガラしないか
口を動かす力食べこぼしが増えていないか。舌がよく動いているか
食事にかかる時間以前より時間がかかるようになっていないか

ステップ2:食形態を選ぶ

食べる力の確認ができたら、合う食形態を選びます。

状態向いている食形態
よく噛めるが飲み込みに少し不安一口大 + とろみ水
噛む力が弱くなってきたきざみ食・軟菜食
噛むことが難しいミキサー食・ムース食
飲み込みに問題がある(医師・言語聴覚士と相談)

ステップ3:特に気をつける栄養素3つ

高齢者の食事で特に不足しやすい栄養素が3つあります。

① エネルギー(カロリー)最優先!

「高齢だから少ない量でいい」と思いがちですが、活動量が落ちてもエネルギーが不足すると筋肉が落ち、飲み込む力も低下します。

食事量が少ない場合は、少量で高エネルギーのものを取り入れましょう(ゼリー系栄養補助食品など)。

② たんぱく質

筋肉・飲み込む力・免疫力の源です。高齢になると若い頃より多く必要になります。

目安:体重1kgあたり1〜1.2g/日
(体重50kgなら1日50〜60gのたんぱく質)

たんぱく質が豊富な食品:肉・魚・卵・豆腐・納豆・牛乳・チーズ

「食べる量が少なくなってきた」という方は、たんぱく質が摂れているかを確認してください。

③ 水分

高齢者は口の渇きを感じにくく、気づかないうちに脱水になりがちです。1日の目安は体重(kg)×30ml。体重50kgなら1,500mlが目標です。

飲み込みが心配でとろみ水を使う方は、とろみ水でも水分量としてカウントできます。


ステップ4:食事の用意を3つに分けて考える

毎日すべてを手作りする必要はありません。以下の3つを組み合わせましょう。

① 宅配介護食(メインに)

管理栄養士が監修した栄養バランスのとれた食事を宅配してくれるサービスです。冷凍タイプが多く、保存できるので便利です。

・やわらか食・ムース食・きざみ食など、食形態を選べる商品が増えています
・塩分制限や糖尿病対応など疾患別のメニューもあります

毎日3食全部を手作りするのは大変です。宅配食を「メイン」として使い、手作りをサブにする発想の転換をしてみてください。

② 市販の介護食・栄養補助食品(1品として)

スーパーや薬局、通販で購入できる市販の介護食は、種類が豊富になっています。

・レトルトのやわらか食(主菜・副菜)
・高たんぱく・高カロリーのゼリー・ドリンク
・とろみ調整食品

「足りない栄養を補う1品」として活用するのがおすすめです。

③ 普通の料理を工夫して介護食に(時間があるとき)

普通の料理を少し工夫するだけで、介護食に変えることができます。

煮物は長めに煮る(圧力鍋を使うとやわらかくなりやすい)
肉は鶏のひき肉・豚のひき肉から始める
魚は白身魚を蒸す・煮る
卵料理(茶碗蒸し・スクランブルエッグ)は食べやすい
豆腐は加熱してとろみあんかけ


ステップ5:困ったときの相談先

困ったこと相談先
食形態の判断に迷うかかりつけ医・言語聴覚士
何をどれだけ食べさせればいいか管理栄養士(訪問栄養士の利用も可)
宅配サービスや市販品の選び方ケアマネジャー・管理栄養士
体重が減ってきたかかりつけ医・管理栄養士

まとめ

・食事選びは「食べる力の確認」→「食形態の選択」→「栄養の確保」の順で
・特に注意する栄養素はたんぱく質・エネルギー・水分の3つ
・宅配食・市販品・手作りを組み合わせる。全部手作りしなくていい
・困ったときはケアマネジャー・管理栄養士に相談を


著者:とり子(管理栄養士・JSDR認定士)/現在、高齢者施設勤務

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