フレイルになると「食べる力」も落ちる——嚥下機能とフレイルの深い関係
「フレイル」という言葉を聞いたことはありますか?
「体が弱ってきた」「筋肉が落ちてきた」というのは何となくイメージできても、フレイルが飲み込む力(嚥下機能)にまで影響することはあまり知られていません。
この記事では、管理栄養士・JSDR認定士として、フレイルと嚥下機能の深い関係、そして今日から家族でできる予防法をお伝えします。
まず結論:フレイルは全身の筋肉を落とし、飲み込む力も奪います
フレイルになると体全体の筋肉が落ちます。これは「飲み込みに使う筋肉」も例外ではありません。その結果、むせが増えたり、食形態を下げなければならなくなったりします。
さらに「食べにくい→食事量が減る→栄養不足→フレイルがさらに進む」という悪循環が生まれます。
フレイルとは何か:要介護の一歩手前
フレイルとは、加齢によって体や心の力が弱まり、ストレスに弱くなった状態のことです。「要介護」と「健康」の中間にあたります。
重要なのは、フレイルは早期に気づければ改善できるということ。「最近なんとなく元気がない」「食欲が落ちてきた」という段階で気づけると、対策が打てます。
「口腔フレイル」を知っていますか?
フレイルの中でも特に食事と関係深いのが「口腔フレイル」です。口の機能が低下した状態を指します。
口腔フレイルのサイン
以下に当てはまる項目が増えてきたら要注意です。
・硬いものが食べにくくなった(せんべい・ごぼうなど)
・むせることが増えた
・食べこぼしが増えた
・滑舌(声の聞き取りやすさ)が悪くなった
・口が乾きやすい
・歯が抜けた・義歯が合っていない
・食事の時間が長くなった
2〜3個当てはまる場合は口腔フレイルの可能性があります。歯科受診と口腔機能のトレーニングを始めましょう。
なぜ口腔フレイルが嚥下機能低下につながるのか
飲み込みは、口・舌・のど・食道が連携して行う複雑な動作です。口腔フレイルが進むと:
- 口の中で食べ物をまとめる力(食塊形成)が落ちる
- 舌の力が落ちてのどに送り込めなくなる
- のどの反射(嚥下反射)が遅くなる
- むせ・誤嚥のリスクが上がる
この流れは、予防ができれば食い止められます。
今日からできる:嚥下機能を維持するトレーニング
パタカラ体操(食前に行うと効果的)
「パ・タ・カ・ラ」の4つの音を使った口腔機能のトレーニングです。1日2〜3回、食事の前に行うと効果的です。
| 音 | 動き | 効果 |
|---|---|---|
| パ | 唇をしっかり閉じて「パ」と開く | 唇の動き→食べ物が口からこぼれにくくなる |
| タ | 舌の先を上あごにつけて「タ」 | 舌の先の動き→食べ物を送り込む力が上がる |
| カ | 喉の奥を使って「カ」 | 喉の奥の動き→誤嚥を防ぐ反射が高まる |
| ラ | 舌全体を上あごに転がして「ラ」 | 舌全体の動き→食塊をまとめる力が上がる |
やり方:「パパパパパ」「タタタタタ」「カカカカカ」「ラララララ」と各5回ずつ。慣れてきたら「パタカラ・パタカラ」と連続して言う練習も。
発音しにくい場合は、まず口の形だけ作るだけでも効果があります。
あーんー体操
口を大きく開けて「あー」と言い、次に「んー」と口を閉じる。これを5回繰り返すだけの簡単なトレーニングです。口の開閉に使う筋肉と、舌の付け根の筋肉を鍛えられます。
たんぱく質が嚥下機能維持のカギ
飲み込みに使う筋肉も、筋肉である以上たんぱく質がなければ維持できません。
嚥下機能を守るためにも、毎日のたんぱく質摂取が欠かせません。
特に不足しやすい食品を1食に1品以上取り入れましょう。
・朝:卵・ヨーグルト・豆腐
・昼:魚・肉・納豆
・夕:肉・魚・豆腐・チーズ
口腔ケアも忘れずに
口腔フレイルの予防には、日々の口腔ケアも欠かせません。歯みがき・入れ歯のケア・舌のケアを毎日行うことが、口腔機能の維持につながります。
まとめ
・フレイルは全身の筋力を落とし、飲み込む力(嚥下機能)にも影響する
・「口腔フレイル」のサインを早めにキャッチすることが大切
・予防のカギはたんぱく質摂取・パタカラ体操・口腔ケアの3つ
・早期に気づけばフレイルは改善できる
著者:とり子(管理栄養士・JSDR認定士)/現在、高齢者施設勤務
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