「毎日介護食を作るのが正直しんどい。でも手を抜いたら申し訳ない気がして…」

「宅配食を使いたいけど、楽をしているみたいで罪悪感がある」

「市販のものは栄養が足りているのか不安で、つい全部手作りしようとしてしまう」

こういった言葉を、在宅介護をしている方から何度も聞いてきました。毎食、誰かのために食事を用意し続けることがどれだけ大変か。それを続けながら、仕事や他の家事もこなしている方が多いことも知っています。

はっきりお伝えします。手を抜いていいんです。

この記事では、管理栄養士・JSDR認定士として、なぜ手を抜いていいのかの理由と、具体的な5つの解決策をお伝えします。


まず結論:「プロのチームと同じことを一人でやろうとしている」

高齢者施設では、介護食を作るチームがいます。

・管理栄養士が献立を考え
・調理師・調理補助が複数人で作り
・栄養計算・食形態の確認・衛生管理をする

これを在宅で一人の家族が毎食やろうとしている。そりゃ限界になります。

「プロがチームでやっていることを、一人でやろうとしている」——この現実に気づくだけで、少し楽になると思います。


なぜ「手を抜く」ことが大切なのか

介護者が倒れたら元も子もない

在宅介護の最大のリスクのひとつは、介護者の燃え尽きや体調不良です。介護食作りに疲弊して、介護者が倒れてしまったら誰が介護をするのでしょうか。

あなた自身の体力・精神力を守ることが、介護を続ける上で一番大切です。

市販食・宅配食は今、進化しています

「市販の介護食は栄養が少ない」「宅配食はまずい」というイメージは、昔の話です。

現在の宅配介護食は管理栄養士が監修し、栄養バランスが整っており、食形態も豊富に選べます。手作りにこだわる必要はありません。


5つの解決策

解決策① 宅配介護食を「メイン」にする

最も効果的な方法は、宅配介護食を「補助的なもの」ではなく「メイン」として使うことです。

宅配介護食のメリット:
・管理栄養士監修で栄養バランスが整っている
・やわらか食・きざみ食・ムース食など食形態を選べる
・冷凍タイプが多く、保存できて便利
・塩分制限・糖尿病対応など疾患別メニューもある

「手作りをやめて宅配に変えた」ではなく、「宅配を主軸にして、時間があるときだけ手作りを足す」という発想の転換をしてみてください。

解決策② 市販の介護食を「1品」として取り入れる

毎食全部手作りでなく、「主食は手作り、おかずの1品は市販品」という組み合わせでも十分です。

活用しやすい市販品:
・レトルトのやわらかおかず(魚・肉・煮物など)
・高たんぱく・高カロリーのゼリー食
・とろみ調整食品
・栄養補助ドリンク・ゼリー(おやつとして)

スーパー・薬局・通販で購入できます。

解決策③ 週末まとめ調理+冷凍ストック

時間があるときにまとめて作り、冷凍保存しておく方法です。

まとめ調理に向いている介護食:
・煮物(かぼちゃ・大根・芋類)
・やわらか肉じゃが
・豆腐のあんかけ
・スープ類(ポタージュ・みそ汁)

1食分ずつ小分けにして冷凍しておけば、解凍するだけで使えます。

解決策④ 普通の料理を介護食に変える5つのコツ

普通の食事を少し工夫するだけで、介護食に近づけることができます。

コツ具体的な方法
長めに煮る野菜・肉は通常の1.5〜2倍の時間煮ると柔らかくなる
圧力鍋を使う短時間でとろとろになる。骨付き肉も食べやすく
ひき肉・魚のすり身を選ぶ塊肉より断然食べやすい
卵料理を活用する茶碗蒸し・スクランブルエッグ・卵豆腐はやわらかくて高たんぱく
あんかけにするとろみをつけることで飲み込みやすくなる

解決策⑤ ケアマネジャーに相談して介護サービスを使う

「介護食を作ることが負担」という状況は、そのままにしておかないでください。ケアマネジャーに相談することで、以下のサービスが利用できる可能性があります。

訪問栄養指導:管理栄養士が自宅を訪問し、食事のアドバイスをしてくれる
配食サービス:地域によっては自治体の補助があるサービスも
デイサービスの食事:デイサービスで昼食を摂ることで、1食分の負担が減る

「プロのサポートを借りること」は決して恥ずかしいことではありません。


「罪悪感」について

「市販品を使うことへの罪悪感」「手を抜くことへの罪悪感」を感じている方に、施設で働く管理栄養士としてお伝えしたいことがあります。

施設では、その道のプロたちが連携して食事を提供しています。その同じことを、在宅で家族が一人でやることには無理があります。

毎日食事を用意し、一緒に食卓を囲み、笑顔で「おいしい?」と聞いてあげること。それ自体がすでに素晴らしい介護です。

食事の内容が完璧でなくても、あなたが倒れずに介護を続けられることの方がずっと大切です。


まとめ

・在宅で一人が介護食を全部作ることには無理がある。手を抜いていい
・5つの解決策:宅配食をメインに・市販品1品・まとめ調理・料理の工夫・介護サービス活用
・宅配介護食は今、栄養・食形態ともに進化している
・介護者自身が倒れないことが最も大切


著者:とり子(管理栄養士・JSDR認定士)/現在、高齢者施設勤務

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