「ちゃんと食べているつもりだけど、最近元気がない気がする…」

「体重は測っていないけど、なんとなく痩せてきた気がする」

実は、高齢者の低栄養は気づきにくいのです。本人も「お腹が減らない」と感じにくくなっていることが多く、家族が気づいた時には低栄養がかなり進んでいることもあります。

この記事では、管理栄養士・JSDR認定士として、高齢者の低栄養が家族に見逃されやすい7つのサインと、今日から始められる改善策をお伝えします。


まず結論:低栄養は体重だけではわかりません

「体重が減っていないから大丈夫」と思っている方もいますが、低栄養の判断には体重以外にもさまざまなサインがあります。

むしろ体重が保たれていても、たんぱく質・ビタミン・ミネラルが不足している「隠れ低栄養」のケースも多いです。


低栄養が引き起こすこと

低栄養になると、以下のような問題が連鎖的に起きます。

・筋力が落ちる → 転倒・骨折のリスクが上がる
・免疫力が落ちる → 感染症・肺炎にかかりやすくなる
・飲み込む力が落ちる → 誤嚥のリスクが上がる
・傷の治りが遅くなる → 床ずれが悪化しやすくなる
・心身の活力が落ちる → 認知機能・うつにも影響する

低栄養は万病の入り口です。早めに気づいて対処することが大切です。


家族が見逃しやすい7つのサイン

サイン① 1ヶ月で2kg以上体重が減った

最もわかりやすいサインです。月に一度、体重を量る習慣をつけましょう。体重計がない場合は、「ズボンのウエストがゆるくなった」「服が大きく感じるようになった」という変化でも確認できます。

サイン② ズボン・洋服がゆるくなった

体重を量っていなくても、衣服の着用感で体型変化に気づけます。以前に合っていた服がゆるくなった場合は、体重・筋肉量の低下のサインです。

サイン③ ふくらはぎを指で囲める(サルコペニアの簡易チェック)

「指輪っかテスト」と呼ばれる簡易チェックです。

やり方:
親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲んでみます。

囲めない(輪がふくらはぎより小さい):筋肉量が保たれている
ちょうど囲める:要注意。筋肉量が低下している可能性あり
余裕で囲める(隙間がある):筋肉量が低下しているサルコペニアの可能性が高い

簡単にできる確認方法ですので、ぜひ試してみてください。

サイン④ 食事量が以前の半分以下になった

食事量が目に見えて減ってきた場合、栄養不足が進んでいる可能性があります。食べる量が減った時は「どうして食べないのか」の原因を探ることが先決です。

サイン⑤ 疲れやすい・よく昼寝する

「年のせいだから仕方ない」と思いがちですが、低栄養による疲労感の場合があります。特にたんぱく質・鉄・ビタミンB群が不足すると、疲れやすさ・無気力感が出やすくなります。

サイン⑥ 肌がかさかさ・髪が抜けやすい

皮膚や髪はたんぱく質・ビタミン・ミネラルの影響を受けやすい部位です。急に肌荒れが悪化した、髪が薄くなってきた、という変化は栄養不足のサインかもしれません。

サイン⑦ 傷の治りが遅くなった

転倒してできた擦り傷、褥瘡(床ずれ)の治りが遅くなっている場合も、たんぱく質・ビタミンCの不足が関係していることがあります。


チェックシート

今日確認できるものから確認してみましょう。

サイン確認方法当てはまる?
体重が1ヶ月で2kg以上減った体重計で測定
衣服がゆるくなった着用感を確認
ふくらはぎを指で囲める指輪っかテスト
食事量が以前の半分以下食事場面を観察
疲れやすい・よく昼寝する日常を観察
肌荒れ・脱毛が増えた皮膚・頭部を確認
傷の治りが遅い過去の経過を確認

3つ以上当てはまる場合:かかりつけ医・管理栄養士に相談してください。


特に不足しやすい3つの栄養素と改善策

① たんぱく質(最重要)

不足すると:筋力低下・嚥下機能低下・免疫力低下・傷の治りが遅い

目安:体重1kgあたり1〜1.2g/日(体重50kgなら50〜60g)

取り入れやすい食品:
・卵1個 = たんぱく質約6g
・豆腐1/3丁 = 約5g
・鶏むね肉100g = 約23g
・牛乳コップ1杯 = 約7g

1日3食、毎食に必ず「たんぱく源」を1品入れることを目標に。

② エネルギー(カロリー)

不足すると:体重減少・筋肉が落ちる・疲れやすくなる

食事量が少ない場合は、少量で高カロリーの工夫を:
・ご飯にバター・オリーブオイルを少量加える
・食間に栄養補助食品(ゼリー・ドリンク)を摂る
・料理に牛乳・チーズを使う

③ 水分

不足すると:脱水・便秘・尿路感染・意識障害

目安:体重(kg)×30ml/日

「お腹いっぱい」「のどが渇かない」という方でも、こまめに水分を取る仕組みを作りましょう(食卓に常に飲み物を置く、など)。


改善策5つ

  1. 月1回、体重を量る習慣をつける
  2. 毎食にたんぱく質1品を必ず加える(卵・豆腐・肉・魚)
  3. 食間に栄養補助食品を活用する(ゼリー・ドリンクタイプ)
  4. 食べやすい形態に変える(やわらかく調理・刻む)
  5. かかりつけ医・管理栄養士に相談する(3つ以上サインがある場合)

まとめ

・低栄養のサインは体重だけでなく7つある:体重・衣服・ふくらはぎ・食事量・疲れやすさ・肌髪・傷
・3つ以上当てはまれば専門家へ相談
・特に不足しやすいのはたんぱく質・エネルギー・水分
・「年だから仕方ない」ではなく、早期発見・早期対応が大切


著者:とり子(管理栄養士・JSDR認定士)/現在、高齢者施設勤務
参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)厚生労働省 / 地域で取り組む!フレイル予防スタートブック(東京都健康長寿医療センター研究所, 2021)

CTAサンプル

これはCTAサンプルです。
内容を編集するか削除してください。