相談者

買い物に行けなくて、冷蔵庫が空っぽの日があります。あと一品足したいけれど、乾物は戻すのが面倒で使えていません。

とり子

毎回たくさん戻す必要はないんです。ひとつまみだけ、いつもの汁物に入れる。それでじゅうぶん一品になりますよ。

介護の食事づくりで困るのは、主菜よりも「あと一品」です。主菜は宅食や缶詰で何とかなっても、副菜がないと食卓がさみしくなります。

そんなときに役立つのが乾物です。常温で長く置けて、少量ずつ使える——買い物に行けない日の強い味方になります。

この記事で分かること

  • 乾物が介護家庭に向いている理由
  • 常備したい乾物7つと使い方
  • 戻す手間を減らす3つのコツ
  • 乾物を使うときの注意点

高齢者施設で働く管理栄養士(JSDR認定士)の私が、現場での使い方をご家庭向けにお伝えします。

結論|乾物は「あと一品」の小さな味方

乾物は「あと一品」の小さな味方であることを示した図。少量ずつ使えて、献立に変化をつけられる

冷蔵庫が空でも、乾物があれば一品を足せます。毎回たくさん使う必要はありません。少量ずつ、いつもの汁物や煮物に加えるのが、いちばん続けやすい方法です。

少量ずつ使えるのが利点

生野菜は使い切れずに傷ませてしまうことがありますが、乾物はひとつまみだけ使えます。食事量が少ない高齢の方の分をつくるとき、この「少しだけ使える」は大きな利点です。

献立に変化をつけられる

同じみそ汁でも、わかめの日、麩の日、とろろ昆布の日と変えられます。食欲が落ちている方にとって、いつもと少し違うは食べるきっかけになります。

施設でも、乾物は現役です

とり子

私の施設でも、わかめ・とろろ昆布・切り干し大根・お麩は日常的に使っています。バラエティに富んだ料理を出すために欠かせません

保存がきいて、少量ずつ使えて、献立に変化をつけられる。大量調理の現場でも、乾物はその点で重宝されています。ご家庭で「あと一品」を足すときも、考え方は同じです。

常備したい乾物7つ

常備したい乾物7つと、それぞれの使い方をまとめた表

まずはこの7つから。全部そろえる必要はありません。よく作る料理に合うものを2〜3種類から始めてください。

乾物使い方
乾燥わかめ少量を戻して汁物や卵焼きへ
切り干し大根短く切り、十分に戻してやわらかく煮る
高野豆腐だしを含ませ、卵とじにする
ひじきやわらかく煮て、豆腐や卵と合わせる
麩汁物や煮物に加え、十分に水分を含ませる
乾燥きのこ戻し汁も煮物に使う
かつお節冷ややっこややわらかい野菜の風味付けに

たんぱく質を足せるもの

高野豆腐は、乾物のなかでもたんぱく質をしっかり足せる食品です。だしを十分に含ませてから卵でとじると、やわらかくまとまりやすい一品になります。

汁物にひとつまみ足すもの

乾燥わかめ・麩・かつお節は、戻す手間がほとんどありません。みそ汁やすまし汁に入れるだけで、食卓の見た目が変わります。

しっかり煮てやわらかくするもの

切り干し大根・ひじき・乾燥きのこは、戻しただけでは繊維が残ります。短く切ってから、いつもより長めに煮ることが大切です。

戻す手間を減らす3つのコツ

戻す手間を減らす3つのコツ。前の晩に翌日分を戻す、小容量の商品を選ぶ、戻したあとに短く切る

「戻すのが面倒」でやめてしまう方が多いので、そこを軽くする方法をお伝えします。

夕食の支度のついでに、翌日分を戻す

今日の支度をしながら、翌日使う分を冷蔵庫で戻しておきます。翌日は煮るだけになるので、体感の手間がかなり減ります。

短時間で戻る小容量の商品を選ぶ

同じ切り干し大根でも、細めに切ってある商品は早く戻ります。少量パックを選べば、使い切れずに残ることもありません。

戻したあとに、食べやすい長さへ切る

戻す前より、戻したあとのほうが切りやすい乾物もあります。1〜2cm程度に切っておくと、口の中でまとめやすくなります。

衛生面から、戻したものは長く置かず、商品の表示に従って使い切ってください。

宅食の「副菜が足りない日」に足す

宅食の主菜に乾物の副菜を足した食卓のイラスト。副菜が足りない日の一品の足し方を示している

宅食の主菜はあるけれど、もう一品ほしい。そんな日こそ乾物の出番です。

  • 高野豆腐の卵とじを小鉢に
  • やわらかく煮た切り干し大根を少量
  • わかめのみそ汁を添える

宅食を土台にすれば、作るのは一品だけで済みます。宅食と常備食の組み合わせ方は、こちらで詳しく書いています。
→ 宅食と常備食、どちらが便利?介護家庭の負担を減らす使い分け

気をつけたいこと

海藻やきのこを増やせば、誰にでもよいというわけではありません。食事量が少ない方に、繊維の多い食品だけをたくさん勧めるのは避けてください。おなかがふくれて、主菜が入らなくなることがあります。

全体の食事量、水分のとり方、病気による制限もあわせて確認しましょう。

よくある質問

乾物の使い方についてよくある質問をまとめたバナー

乾物は歯が弱い親にも食べられますか

戻し方と切り方しだいです。短く切って、いつもより長めに煮ればやわらかくなります。出す前に、ご自身で一口食べて確かめてください。

わかめはそのまま入れても大丈夫ですか

戻すと大きくなるので、ひとつまみで十分です。大きいまま口に入ると飲み込みにくいことがあるので、気になる場合は戻したあとに短く切ってください。

戻した乾物は何日もちますか

商品の表示に従ってください。基本は翌日までに使い切る前提で、必要な分だけ戻すのがおすすめです。

7つ全部そろえたほうがいいですか

いいえ。よく作る料理に合うものを2〜3種類から始めてください。使わないまま置いておくと、結局それも無駄になります。

ひじきは毎日食べても大丈夫ですか

毎日たくさん食べ続けることはおすすめしません。いろいろな食品をまわして使うほうが、栄養の面でも食べ飽きない面でも向いています。

飲み込みに不安がある場合も使えますか

海藻やきのこは口の中でばらけやすく、飲み込みに不安のある方には向かないことがあります。自己判断で進めず、専門職に相談してください。とろみが必要な方は、こちらもあわせてご覧ください。
→ とろみの濃度、なんとなくで決めていませんか?管理栄養士が教える学会分類2021の3段階と失敗しない作り方

まとめ|ひとつまみから始める

乾物は「たくさん戻して、しっかり作る」ものだと思うと続きません。ひとつまみだけ、いつもの汁物に入れる。それで十分、食卓は変わります。

この記事の振り返り

  • 乾物は少量ずつ使えるのが最大の利点
  • まずは2〜3種類から始める
  • 切り干し大根・ひじき・きのこは短く切って長めに煮る
  • 翌日分を前の晩に戻しておくと手間が減る
  • 食事量が少ない方に繊維の多い食品を勧めすぎない

今日の買い物で、わかめか麩をひと袋。そこから始めてみてください。

※本記事の情報は一般的な工夫です。食事制限、アレルギー、嚥下状態には個人差があります。むせや食べ残しが増えた場合は、自己判断で様子を見ず、主治医・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

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とり子
高齢者施設で働く管理栄養士です。 日々の現場では、ご家族から食事量の低下やむせ、介護食の悩みについて相談を受けることがあります。 頑張って手作りしているからこそ、つらくなる…そんなご家族に、少しでも力を抜いてもらえる情報を届けたい。 JSDR認定士として、専門知識と現場の経験を、優しく分かりやすくお伝えします。