相談者

冷凍庫はぎゅうぎゅうなのに、いざ疲れて帰った日に「使えるものがない」と感じます。何を置いておけばいいのでしょう。

とり子

量ではなく「何食分あるか」が見えていないのだと思います。主食・主菜・野菜の3つに分けるだけで、ずいぶん違いますよ。

冷凍庫がいっぱいでも、使えるものが分からなければ負担は減りません。むしろ「入らないからもう買えない」と、選択肢がせまくなってしまいます。

大切なのは量ではなく、何食分あるかが見えていることです。

この記事で分かること

  • 冷凍庫を「献立の予備」として使う考え方
  • 常備候補15品(主食・主菜・野菜)
  • 続けられる在庫管理のしかた
  • 冷凍宅食との役割分担

高齢者施設で働く管理栄養士(JSDR認定士)の私が、現場の考え方とご家庭の事情を踏まえてお伝えします。

結論|冷凍庫は「献立の予備」を置く場所

冷凍庫は「献立の予備」を置く場所であることを示した図

冷凍庫は、ただの保管庫ではなく「疲れた日の逃げ場」です。そう考えると、置くべきものが決まってきます。

いっぱいでも、使えなければ意味がない

「いつか使う」で入れたものは、たいてい使われません。今週中に食卓に出せるものだけを置くつもりでいると、中身が自然に整理されます。

主食・主菜・野菜の3つに分ける

引き出しや袋で場所を分け、それぞれ何食分あるかを数えられるようにします。この3つがそろえば、一食は組み立てられます。

施設と家庭では、在庫の考え方が逆です

とり子

意外に思われるかもしれませんが、私の施設の厨房は冷凍庫も冷蔵庫も大きいのに、在庫はほとんど抱えていません。前日納品で、使い切る量だけを発注しているからです

でも、ご家庭は違います。毎日買い物に行けない、急な残業がある、自分の体調が悪い日もある——だからこそ、家庭にとって冷凍庫の買い置きは「命綱」です。

施設のやり方をそのまま真似する必要はありません。むしろ逆をやってください。

常備候補15品

冷凍庫の常備候補15品。主食5品、主菜の材料5品、野菜・副菜5品を一覧にした図

全部そろえる必要はありません。それぞれのグループから2〜3品ずつ選んでください。

主食(5品)

  1. 小分けごはん
  2. 冷凍うどん
  3. 冷凍おにぎり
  4. 冷凍おかゆ
  5. 食パン

食欲がない日でも、おかゆやうどんなら食べられることがあります。主食は多めに置いておくと安心です。

主菜の材料(5品)

  1. 骨取り魚
  2. 小さめハンバーグ
  3. 鶏つくね
  4. 卵料理
  5. 豆腐を使ったおかず

骨取り魚は、骨を気にせず出せるのが利点です。高齢の方の主菜として、常備しておく価値があります。

野菜・副菜(5品)

  1. かぼちゃ
  2. ほうれん草
  3. 里芋
  4. ブロッコリー
  5. やわらかい煮物の小分け

かぼちゃ・里芋は加熱後につぶしやすく、ほうれん草は汁物や卵とじに少量ずつ使えます。

初回は少量から

商品によって、かたさ・味付け・具の大きさは大きく違います。同じ「鶏つくね」でも、噛み切れないものもあります。まとめ買いする前に少量を買い、出す前にご自身が一口食べて確かめてください。

→ 【管理栄養士が解説】高齢の親が食べやすい常備食の選び方

在庫管理は簡単でよい

在庫管理は簡単でよい。冷凍庫の扉に主食3・主菜2・野菜3と書いて数える方法を示した図

きちんとした管理表をつくると、続きません。数えるのは3つだけで十分です。

扉に数字を書くだけ

冷凍庫の扉に「主食3・主菜2・野菜3」のように書き、使ったら数字を減らします。ホワイトボードでも、紙とマグネットでも構いません。

数えるのは週1回でいい

月に一度全部を出して確認するより、週1回の宅配注文前に数えるほうが楽で、買いすぎも防げます。

切らしたくない下限を決める

「主食が2食分を切ったら買う」のように下限を決めておくと、数えた瞬間に判断できます。考える時間が減ります。

冷凍宅食との役割分担

冷凍宅食との役割分担。冷凍庫が小さい家庭での組み合わせ方を示した図

冷凍の宅食は、主菜と副菜が一度にそろうのが利点です。組み立てる手間そのものがなくなります。

ただし、宅食も冷凍庫の場所を取ります。冷凍庫が小さいご家庭では、次のような方法があります。

  • 宅食を詰め込みすぎず、週の前半分だけ受け取る
  • 常温保存できる缶詰やパックごはんも混ぜる
  • 宅食が届く日に合わせて、冷凍庫を空けておく

宅食と常備食をどう組み合わせるかは、こちらで詳しく書いています。
→ 宅食と常備食、どちらが便利?介護家庭の負担を減らす使い分け

よくある質問

冷凍食品の常備についてよくある質問をまとめたバナー

15品全部そろえたほうがいいですか

いいえ。主食・主菜・野菜から2〜3品ずつで十分です。使わないものを置くほうが、冷凍庫を圧迫します。

冷凍食品は栄養が落ちませんか

冷凍だから栄養がないということはありません。それよりも、作れずに食事を抜いてしまうことのほうが、高齢の方にとっては大きな問題です。

何食分あればいいですか

まずは3食分から。介護する側が体調を崩したときに、3日しのげる量があると気持ちが楽になります。

冷凍食品は味が濃くないですか

商品によります。塩分制限がある方は、表示を確認し、主治医や管理栄養士に相談してください。

解凍したものを冷凍し直してもいいですか

おすすめしません。品質も衛生面も落ちます。小分けになっている商品を選び、必要な分だけ出してください。

飲み込みに不安がある場合も使えますか

市販の冷凍食品は、やわらかさの段階が決まっているとは限りません。自己判断で代用せず、平常時に専門職と「この商品なら使える」を決めておくと安心です。

まとめ|数えられる形にする

冷凍庫を整えるのは、料理をがんばるためではありません。作れない日があっても大丈夫という状態をつくるためです。

この記事の振り返り

  • 冷凍庫は「献立の予備」を置く場所
  • 主食・主菜・野菜の3つに分けて数える
  • 各グループ2〜3品、まずは3食分から
  • 扉に数字を書き、週1回だけ数える
  • 初めての商品は少量を買って一口確かめる

今日、冷凍庫を開けて主食が何食分あるかだけ数えてみてください。そこから始められます。

※本記事の情報は一般的な工夫です。食事制限、アレルギー、嚥下状態には個人差があります。むせや食べ残しが増えた場合は、自己判断で様子を見ず、主治医・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

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とり子
高齢者施設で働く管理栄養士です。 日々の現場では、ご家族から食事量の低下やむせ、介護食の悩みについて相談を受けることがあります。 頑張って手作りしているからこそ、つらくなる…そんなご家族に、少しでも力を抜いてもらえる情報を届けたい。 JSDR認定士として、専門知識と現場の経験を、優しく分かりやすくお伝えします。