相談者

離れて暮らす母の冷蔵庫が心配で、つい食品を送りすぎてしまいます。でも、行くたびに古いものが残っているんです。

とり子

送る量より、ご本人が管理できる量です。「何食分なら扱えるか」を、一度ご本人と一緒に確かめてみてください。

離れて暮らす親の食事は、見えないぶん心配になります。心配だから、つい多く送ってしまう。けれど食べ切れない量は、賞味期限の管理や片づけという新しい負担になります。

この記事で分かること

  • 送りすぎが負担になる理由
  • 1週間分の組み合わせ例
  • 電話で聞くとよい3つの質問
  • 見逃したくない変化のサイン

高齢者施設で働く管理栄養士(JSDR認定士)の私が、遠方のご家族から実際に受ける相談をふまえてお伝えします。

結論|送る量より「管理できる量」

送る量より「管理できる量」であることを示した図。食べ切れない量は親の負担になる

冷蔵庫をいっぱいにすることが、安心につながるとは限りません。

食べ切れない量は負担になる

高齢になると、食べる量そのものが減ります。そこへたくさん届くと、期限を見て、選んで、古いものを捨てるという作業が増えます。体力が落ちている方にとって、これは小さくない負担です。

「何食分なら管理できるか」を一緒に決める

次に帰省したとき、冷蔵庫を一緒に開けて数えてみてください。今ある食品が何食分か、そのうち何食分が使われずに残ったか。この2つが分かれば、送る量の目安が決まります。

遠方のご家族から、一番多い相談

とり子

離れて暮らすご家族からいただく相談で最も多いのは、「食べられないけれど、どうしたらいいか」というものです

そんなとき私がお伝えするのは、栄養補助食品という選択肢です。少ない量で栄養がとれるので、食事量が落ちた方の支えになります。

常温で置けるものが多く、離れていても送れて、本人が調理する必要もありません。遠距離介護と相性のよい方法です。

ただし、食事の代わりにすべて置き換えるものではありません。食事量が落ちているサインについては、こちらもあわせてご覧ください。
→ 高齢者の低栄養とは?家族が見逃しやすい7つのサインと今日からできる改善策

1週間の組み合わせ例

遠距離介護で送る1週間の組み合わせ例。宅食3食、パックごはん、魚缶、冷凍野菜、汁物の材料、好物

一人暮らしの親に送る場合の目安です。ご本人の食べる量に合わせて増減してください。

種類目安
冷蔵または冷凍の宅食3食
パックごはん・おかゆ3〜4食
小さな魚缶・鶏缶2〜3個
冷凍野菜2種類
汁物の材料乾燥わかめ、麩など
常温で置ける好物食べ切りサイズで

宅食を土台にする

宅食が週3食あれば、その日は温めるだけで済みます。残り4日分を、缶詰やパックごはんで埋めると考えると、必要な量が見えてきます。

宅食と常備食の組み合わせ方は、こちらで詳しく書いています。
→ 宅食と常備食、どちらが便利?介護家庭の負担を減らす使い分け

好物を必ず入れる

栄養のことだけを考えた箱は、開けても気持ちが上がりません。食べ切りサイズの好物をひとつ入れてください。それが、次も食べようという気持ちにつながります。

見守り型のサービスもある

宅食の配達日に、冷蔵庫を一緒に確認してくれる見守り型のサービスもあります。ただし、見守りの内容や緊急時の対応範囲は事業者ごとに異なります。契約前に必ず確認してください。

電話で聞くことは3つ

電話で聞くことは3つ。どの商品を開けたか、何食残っているか、食べにくかったものはあったか

「食べた?」「ちゃんとした?」と聞くと、責められていると感じて「食べたよ」で終わってしまいます。具体的に聞いてください。

  1. 今日、どの商品を開けた?
  2. 冷蔵庫に何食残っている?
  3. 食べにくかったものはあった?

「どれを開けた?」なら答えやすい

食べたかどうかではなく、何を開けたかを聞くと、事実として答えられます。責める質問になりません。

残数を聞けば、送る量が決まる

毎週同じ質問をしていると、減り方のペースが分かります。次に送る量を、勘ではなく数字で決められます。

「食べにくかった?」が一番大事

ここに、飲み込む力の変化があらわれます。「かたかった」「のどに残る感じがした」という言葉は聞き逃さないでください。

見逃したくない変化

見逃したくない変化。注文が急に余る、同じものばかり食べる、体重が減る、むせが増える

次のような変化は、宅配を増やすだけでは解決しません。

相談したほうがよいサイン

  • 注文したものが急に余るようになった
  • 同じ食品ばかり食べている
  • 体重が減ってきた
  • 電話口で、むせる・咳き込むことが増えた

地域包括支援センター、ケアマネジャー、主治医などにご相談ください。離れていても、電話で相談できます。

よくある質問

遠距離介護の食事についてよくある質問をまとめたバナー

どのくらいの頻度で送ればいいですか

週1回が目安です。まとめて大量に送るより、少量を定期的に送るほうが、冷蔵庫の中が整理された状態を保てます。

宅食を頼んでも「もったいない」と言われます

お試しや少量の注文から始めて、実際に食べてもらうのが早道です。値段より「これなら食べられる」が伝わると、受け入れられることがあります。

本人が電話に出たがりません

毎回きちんと聞き取ろうとすると、お互い疲れます。3つの質問のうち1つだけにする日があってかまいません。

栄養補助食品は毎日飲ませていいですか

商品によって想定される使い方が異なります。持病がある方、薬を飲んでいる方は、主治医や管理栄養士に確認してから始めてください。

冷凍庫が小さくて宅食が入りません

冷凍にこだわらず、常温で置ける缶詰やパックごはんの割合を増やしてください。冷凍庫の整理のしかたは、こちらにまとめています。
→ 【管理栄養士が解説】介護を助ける冷凍食品リスト15|冷凍庫に何を置く?

遠くにいて何もできないのがつらいです

毎週電話で残数を聞くこと自体が、立派な見守りです。変化に早く気づけるのは、記録を持っているご家族だけです。

まとめ|数えて、聞いて、送る

遠距離介護の食事は、たくさん送ることでは解決しません。数えて、聞いて、必要な分だけ送る。この形にすると、送る側も受け取る側も楽になります。

この記事の振り返り

  • 送る量より、本人が管理できる量
  • 宅食3食を土台に、残りを常備食で埋める
  • 好物をひとつ必ず入れる
  • 電話では「どれを開けた/何食残っている/食べにくかったか」
  • 急に余る・体重が減るは、宅配を増やしても解決しない

次の電話で、「冷蔵庫に何食残ってる?」と聞いてみてください。そこから、ちょうどいい量が見えてきます。

※本記事の情報は一般的な工夫です。食事制限、アレルギー、嚥下状態には個人差があります。むせや食べ残しが増えた場合は、自己判断で様子を見ず、主治医・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

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とり子
高齢者施設で働く管理栄養士です。 日々の現場では、ご家族から食事量の低下やむせ、介護食の悩みについて相談を受けることがあります。 頑張って手作りしているからこそ、つらくなる…そんなご家族に、少しでも力を抜いてもらえる情報を届けたい。 JSDR認定士として、専門知識と現場の経験を、優しく分かりやすくお伝えします。