相談者

母を外食に連れて行きたいのですが、飲み込みが心配で。もう無理かなと、あきらめかけています。

とり子

あきらめないでください。嚥下調整食を出すお店が、少しずつ出てきています。私の施設でも、外出企画で実際に行きましたよ。

飲み込みに不安が出てくると、真っ先にあきらめてしまうのが外食です。家の食事は工夫できても、お店の料理は調整できない。むせたらどうしよう。周りに迷惑をかけるかもしれない——。

でも、外食をあきらめなくていい時代になってきています。

この記事で分かること

  • 嚥下調整食を出しているお店があること
  • お店を探すときに確認すること
  • 予約のときに伝えること
  • 当日、席で気をつけること

高齢者施設で働く管理栄養士(JSDR認定士)の私が、現場で見ていることをお伝えします。

結論|対応しているお店が、実際にあります

嚥下調整食に対応しているお店が実際にあることを示した図

嚥下調整食を出す外食店が出てきた

これまで、飲み込みに配慮した食事は「家か施設で食べるもの」でした。でも最近、外食チェーンが嚥下調整食を出し始めています。

とんでんの「やわらかさざんか」

和食処とんでんが、2025年6月から「やわらかさざんか」という嚥下調整食を出しています。

やわらかさの目安歯ぐきでつぶせるかたさ(箸で切れる)
学会分類2021コード4相当
店舗全95店舗
予約必要(利用の4日前・午前中まで)

看板メニューの「さざんか」をもとに作られていて、見た目の華やかさや食感の変化にもこだわったとのことです。やわらかいだけの食事ではありません。

公式サイトには、こう書かれています。

どなた様も、ご家族やご友人と一緒に、気兼ねなく外食が出来るようにという願いを込めて

施設の外出企画でも行きました

とり子

私の施設では、介護士が入居者と一緒に外出企画でお店に行きました。入居者の方には好評でしたよ

施設の中で毎日同じ顔ぶれで食べるのと、外に出て、お店の器で、家族や仲間と食べるのとでは、同じ食事でも違います。

ただし、誰にでも合うわけではありません

嚥下調整食は誰にでも合うわけではないことを示した図。食形態は人によって違う

ここは正直にお伝えします。コード4は、嚥下調整食の中でいちばん段階が上のものです。

つまり、普通の食事に近い形です。ミキサー食(コード2-2)や極きざみ(コード3)を召し上がっている方には、合いません。

行く前に確認してください

ご本人が今どの段階の食事をしているか、分からない場合は、ケアマネジャーや管理栄養士、言語聴覚士に確認してください。「コード4のものが食べられますか」と聞けば通じます。

とろみが必要な方は、飲み物の扱いも相談が必要です。

食形態の段階については、こちらで解説しています。
→ ミキサー食がまずくなる本当の理由|水ではなく煮汁を使う

お店を探すときに確認すること

お店を探すときに確認すること。電話で問い合わせている様子

学会分類のコードが書いてあるか

いちばん確実なのがこれです。「やわらか食」「高齢者向け」という言葉だけでは、どの段階か分かりません。

「学会分類2021のコード◯相当」と明記しているお店なら、専門職に相談するときもそのまま伝えられます。

予約が必要か、何日前までか

嚥下調整食は、その場で作れるものではありません。予約が必要な場合がほとんどです。

とんでんの場合は4日前の午前中まで。思い立ってすぐ、というわけにはいきません。予定が決まったら、早めに予約してください。

席の環境

  • 椅子席があるか(座敷は姿勢が崩れやすい)
  • 車椅子で入れるか、トイレは使えるか
  • 落ち着いて食べられる席にしてもらえるか

食事の内容だけでなく、食べる環境も一緒に確認しておくと安心です。

予約と当日、気をつけること

予約と当日に気をつけること。椅子席で隣に座って見守る家族

予約のときに伝えること

  • 嚥下調整食を頼みたいこと
  • 人数と、そのうち何人ぶんか
  • 椅子席を希望すること
  • 車椅子の有無

遠慮はいりません。お店は、その前提でメニューを作っています。

嚥下調整食のメニューがないお店に相談するときは、コードと一緒に、やわらかさを言葉でも伝えましょう。学会分類のコードを知らないお店も多いためです。

  • 例:「コード3です。舌と上あごでつぶせるくらいのやわらかさで、口の中でばらけない形にしてほしいです」
  • 例:「とろみは中間です。スプーンを傾けると、とろとろと流れるくらいです」

料理が出てきたら、家族が一口確かめると安心です。

当日、席でできること

  • 姿勢を整える:深く腰かけ、足の裏を床につける
  • 一口量を小さく:家と同じように、小さめのスプーンを持参してもよい
  • 急がせない:周りが食べ終わっても、ゆっくりで大丈夫と伝える
  • 隣に座る:正面より、様子が見える位置に

残してもいい

せっかく来たのだから全部食べてほしい——その気持ちはわかります。でも無理に勧めないでください。

外食の目的は、栄養をとることではありません。一緒に食卓を囲むことです。

よくある質問

外食についてよくある質問をまとめたバナー

とんでん以外にもありますか

まだ多くはありません。ただ、少しずつ増えています。気になるお店があれば、直接電話で聞いてみてください。メニューになくても相談に乗ってくれることがあります。

とろみ剤を持ち込んでもいいですか

予約のときに相談してください。持ち込みを断るお店もあります。黙って使わず、先に伝えるほうが安心です。

普通のメニューを刻んでもらえませんか

刻んだだけでは、口の中でばらけてかえって食べにくくなることがあります。「刻めば安全」ではありません。嚥下調整食として作られたメニューを選ぶほうが確実です。

むせたらどうすればいいですか

あわてず、いったん食事を止めて落ち着かせてください。咳が出せているうちは、体が守ろうとしています。苦しそうな様子が続くときは、すぐに救急を呼んでください。
→ 親が食事中にむせる|家族が見る5つの観察ポイント

本人が「行きたくない」と言います

人前で食べることに抵抗がある方もいます。無理に誘わず、個室や空いている時間帯から試してみてください。

費用はどのくらいですか

お店によって違います。予約のときに確認してください。

泊まりがけの旅行や帰省のときの準備は、こちらでまとめています。
→ 親と旅行・帰省するときの食事|飲み込みに不安があっても楽しむための準備

お店に食事の形を伝えるときは、書きこんで渡せる「食事の形 お知らせカード」を使ってみてください。無料でダウンロードできます。

食事の形 お知らせカード 無料ダウンロード

まとめ|あきらめる前に、電話してみる

飲み込みに不安があると、外食は真っ先にあきらめる対象になります。でも対応しているお店は、確かにあります。

この記事の振り返り

  • 嚥下調整食を出す外食店が出てきている
  • ただしコード4相当。ミキサー食(2-2)や極きざみ(3)の方には合わない
  • 予約が必要。とんでんは4日前まで
  • 「学会分類のコード」が書いてある店を選ぶ
  • 目的は栄養ではなく、一緒に食卓を囲むこと

気になるお店があったら、まず電話で聞いてみてください。それだけで、外食できる日が戻ってくるかもしれません。

参考:北海道生まれ 和食処とんでん「やわらかさざんか」https://www.tonden.co.jp/info/detail/643875(2026年9月時点の情報です。内容は変わることがあります)

※本記事の情報は一般的な工夫です。嚥下状態には個人差があります。外食の可否については、主治医・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

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とり子
高齢者施設で働く管理栄養士です。 日々の現場では、ご家族から食事量の低下やむせ、介護食の悩みについて相談を受けることがあります。 頑張って手作りしているからこそ、つらくなる…そんなご家族に、少しでも力を抜いてもらえる情報を届けたい。 JSDR認定士として、専門知識と現場の経験を、優しく分かりやすくお伝えします。