高齢者の野菜料理を食べやすくするコツ|葉物・皮・繊維の工夫と施設の例
父が、野菜を残すようになりました。特に青菜のおひたしは、噛んでもなかなか飲み込めないようです。どうすれば食べやすくなりますか。
野菜は、切り方と煮る時間を少し変えるだけで、ぐっと食べやすくなります。施設で実際にしている工夫も紹介しますね。
野菜は、ビタミンや食物繊維がとれる大切な食べ物です。けれど、繊維や皮があるため、噛む力が落ちてくると、食べにくくなりやすい食材でもあります。施設でも、葉物を食べづらそうにしている方がいます。
野菜は、選び方・切り方・加熱・まとめ方の4つを工夫すると、食べやすくなります。
この記事で分かること
- 野菜が食べにくくなる理由
- 野菜を食べやすくする4つのポイント
- 葉物・なす・トマト・きんぴらの施設での工夫
- 食事の形ごとの野菜の出し方
高齢者施設で働く管理栄養士の私が、施設での工夫もあわせてお伝えします。
結論|選び方・切り方・加熱・まとめ方

野菜が食べにくくなるのには、理由があります。理由が分かれば、どこを工夫すればいいかが見えてきます。
野菜が食べにくくなる理由
野菜には、噛み切りにくい繊維や、かたい皮があります。葉物は薄くて口の中にはりつきやすく、生の野菜はかたさが残ります。細かくきざんだ野菜は、口の中でばらけて、まとまりにくくなります。
食べやすくする4つのポイント
- 選び方:加熱するとやわらかくなる野菜を選ぶ
- 切り方:皮をむく、繊維を断つ、葉物は短く切る
- 加熱:時間をかけてじっくり煮る
- まとめ方:あんやとろみ、ソースでまとめる
肉・魚とあわせて
肉や魚の工夫は、こちらの記事にまとめています。
→ 高齢者の肉料理をやわらかくするコツ|部位・切り方・下ごしらえと施設の工夫
→ 高齢者の魚料理を食べやすくするコツ|魚の選び方・焼き方と施設の工夫
野菜を食べやすくする4つのポイント

4つのポイントを、ひとつずつ見ていきましょう。できそうなものから取り入れてみてください。
加熱でやわらかくなる野菜を選ぶ
かぼちゃ、じゃがいも、大根、にんじん、玉ねぎなどは、煮るとやわらかくなりやすい野菜です。最初は、こうした野菜から取り入れると安心です。
皮をむき、繊維を断って切る
なすやトマトの皮は、口に残りやすい部分です。皮をむいてから調理しましょう。繊維のある野菜は、繊維を断つように切ると、噛み切りやすくなります。葉物は、短く切ってから調理します。
時間をかけてじっくり煮る
野菜は、煮る時間を長くするほどやわらかくなります。炒めるだけの料理は、かたさが残りやすいので、炒めてから煮る「炒め煮」にするのもおすすめです。圧力鍋や電子レンジを使うと、短い時間でもやわらかくなります。
あんやとろみでまとめる
やわらかく煮た野菜も、細かく切ると口の中でばらけます。あんをかけたり、マヨネーズやソースであえたりすると、まとまって飲み込みやすくなります。
食べにくい野菜と施設の工夫

施設では、使わない野菜は特にありません。そのかわり、食べにくい野菜は、出し方を工夫しています。
葉物はかたく食べにくい
葉物は、かたくて食べづらいようです。ほかのおかずは常食の一口大で食べられる方でも、葉物だけは極きざみにしている方もいます。
家でも、ほかのおかずは食べられるのに青菜だけ残す、ということがあります。その場合は、葉物だけを細かくきざんで、あんやごまあえのあえ衣でまとめてみてください。
なすの皮は口に残りやすい
以前働いていた施設では、生のなすの皮を全部むいていました。なすの皮はかたいので、口から出してしまう方もいます。
家でなすを使うときは、皮をむいてから調理すると安心です。
トマトは皮をむいてダイスカット
施設では、トマトは皮をむいて、さいの目(ダイスカット)に切って出しています。
トマトの皮は、薄くても口の中に残りやすい部分です。湯むきをすると、きれいにむけます。
きんぴらは炒め煮にして1時間
きんぴらなどは、炒めるのではなく炒め煮にして、1時間くらいじっくり煮て、やわらかくしています。
ごぼうやれんこんのような根菜も、時間をかけて煮れば、食べやすくなります。
キャベツはやわらかくしてサラダに
キャベツは、やわらかくしてからサラダにしています。
生のキャベツは、かたくて噛み切りにくい野菜です。さっとゆでたり、電子レンジで加熱したりしてから、ドレッシングやマヨネーズであえると食べやすくなります。
食事の形ごとの野菜の出し方

噛む力や飲み込む力に合わせて、野菜料理の出し方を変えます。
施設では、きざみは包丁で、極きざみはフードプロセッサーで、ミキサー食はミキサーで作り分けています。
一口大・きざみ
やわらかく煮た野菜を、一口大や細かく切って出します。きざんだ野菜はばらけやすいので、あんやとろみでまとめてください。
→ 高齢の親が食べにくい料理とは?6つの特徴と家でできる工夫
極きざみ・ミキサー食
ミキサーにかけるときは、水ではなく煮汁などを足すと、味が薄まりにくくなります。
→ ミキサー食がまずくなる本当の理由|水ではなく煮汁を使う
よくある質問

根菜は避けた方がいいですか
避けなくても大丈夫です。施設でも、ごぼうなどの根菜を、時間をかけて煮てやわらかくしています。
野菜を食べてくれないときは
みそ汁やスープの具にしたり、ポタージュにしたりすると、食べやすくなります。
→ やわらかく飲み込みやすい高齢者の食事|献立の考え方と施設の1日の例
冷凍野菜は使えますか
使えます。下ごしらえの手間が省けるので、毎日の料理が楽になります。ふつうの野菜と同じように、やわらかくなるまで加熱してください。
生野菜は食べさせない方がいいですか
生野菜はかたさが残るので、噛む力が落ちている方には、加熱した野菜の方が食べやすくなります。トマトは皮をむく、キャベツはやわらかくしてからあえるなど、ひと手間かけてみてください。
圧力鍋は使えますか
使えます。根菜なども、短い時間でやわらかく煮えます。
まとめ|野菜はひと手間でやわらかく

野菜は、ちょっとした工夫で食べやすくなります。選び方・切り方・加熱・まとめ方の4つを見直して、野菜料理を食卓に残しましょう。
この記事の振り返り
- かぼちゃ・大根・にんじんなど、煮るとやわらかくなる野菜から
- なすやトマトの皮はむく
- 葉物は短く切り、食べにくければ葉物だけ細かくする
- 炒め物は炒め煮にして、じっくり煮る
- あんやとろみでまとめ、ミキサーは煮汁で伸ばす
次に野菜を煮るときは、いつもより煮る時間を長くしてみてください。
※本記事の情報は一般的な工夫です。噛む力や飲み込む力、食事制限には個人差があります。食事の形については、かかりつけ医・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

