高齢者の魚料理を食べやすくするコツ|魚の選び方・焼き方と施設の工夫
母が、魚は骨があって食べにくいと言って、あまり食べなくなりました。焼き魚もぱさぱさして残しがちです。どうすれば食べやすくなりますか。
魚は、選び方と焼き方、ソースのひと工夫で、ぐっと食べやすくなります。施設で人気の魚料理も紹介しますね。
魚は、たんぱく質に加えて、体にうれしい脂もとれる食べ物です。けれど、小骨があったり、焼くとぱさついたりして、高齢になると「食べにくい」と感じやすい食材でもあります。
魚は、魚の種類・骨と皮・加熱のしかた・ソースやあんの4つを工夫すると、食べやすくなります。
この記事で分かること
- 魚が食べにくくなる理由
- 魚を食べやすくする4つのポイント
- 施設で人気の魚料理と、残されやすい魚料理
- 食事の形ごとの魚の出し方
高齢者施設で働く管理栄養士の私が、施設での工夫もあわせてお伝えします。
結論|魚の種類・骨と皮・加熱・ソース

魚が食べにくくなるのには、理由があります。理由が分かれば、どこを工夫すればいいかが見えてきます。
魚が食べにくくなる理由
魚には小骨や皮があり、口の中で骨を探しながら食べるのは、高齢の方には負担になります。また、脂の少ない魚は焼くと身がしまって、ぱさつきやすくなります。ほぐれた身が口の中でばらけて、まとまりにくいのも食べにくさの原因です。
食べやすくする4つのポイント
- 魚の種類:脂のある魚や、身のやわらかい白身魚を選ぶ
- 骨と皮:骨のない切り身を使い、食べにくい皮は取る
- 加熱のしかた:蒸気を使って、しっとり焼く
- ソースやあん:ソースやあんをかけて、しっとりまとめる
肉とあわせて、たんぱく質の柱に
魚は、肉と並ぶたんぱく質のおかずです。肉の工夫は、こちらの記事にまとめています。
→ 高齢者の肉料理をやわらかくするコツ|部位・切り方・下ごしらえと施設の工夫
魚を食べやすくする4つのポイント

4つのポイントを、ひとつずつ見ていきましょう。できそうなものから取り入れてみてください。
魚の種類を選ぶ
さばのように脂のある魚は、加熱してもしっとりしやすくなります。白身魚は、身がやわらかく、くせが少ないので食べやすい魚です。
施設では、さばのほかに、比較的安く手に入るホキや、メヌケなどの白身魚をよく使っています。
魚介類は、生で食べるか、火を通すかによっても、食べやすさが変わります。
| 食べやすさ | 魚介類の例 |
|---|---|
| 生でもやわらかく食べやすい | まぐろ、はまち、ぶり、甘エビ、いくら、ホタテの貝柱 |
| 火を通しても身がかたくなりにくい | さんま・いわしなどの小さい青魚、かれい・たら・きんきなどの白身魚、かに、牡蠣 |
| 生では噛みにくい | たい・かれいなどの白身魚、イカ、タコ、貝類 |
| 火を通すとかたくなりやすい | かつお・まぐろなどの大きい青魚、イカ、タコ、エビ、貝類 |
この表は、こちらの本を参考にしました。やわらかく飲み込みやすい料理のレシピもたくさんのっていて、毎日の献立づくりの参考になります。
骨のない切り身を使う
施設の魚は、骨を取った冷凍の切り身で、一切れ60gで届きます。小骨を気にせず食べられるので、安心です。
家でも、スーパーや通販で「骨取り」「骨なし」と書かれた切り身を選べます。ふつうの切り身を使うときは、調理の前に小骨を取っておきましょう。皮がかたくて食べにくい方には、皮を取ってから出します。
蒸気を使って、しっとり焼く
焼き魚は、水分が抜けて身がかたくなりやすい料理です。
施設では、スチームコンベクションオーブンという、蒸気と熱風を一緒に使える調理機器で焼いています。蒸気を当てながら焼くので、身がしっとり仕上がります。
家では、フライパンにふたをして蒸し焼きにしたり、アルミホイルで包んで焼いたりすると、ぱさつきにくくなります。下ごしらえに、肉や魚をやわらかくする調味料を使う方法もあります。施設でも、魚に「献立さん やわらかアップ お肉・お魚用」を使っています。
ソースやあんでしっとりまとめる
ほぐれた身はばらけやすいので、ソースやあんをかけてまとめると、飲み込みやすくなります。大根おろしで煮るおろし煮も、しっとりと食べやすい料理です。
施設で人気の魚料理・残されやすい魚料理

同じ魚でも、料理によって、よく食べてもらえるものと、残されやすいものがあります。
人気はタルタル焼きとグラタン焼き
入居者さんに人気なのは、魚のタルタル焼きとグラタン焼きです。
魚にタルタルソースやグラタンのソースをのせて焼くと、ソースが身をしっとりと包んでくれます。味がはっきりしているのも、好まれる理由です。洋風の味つけは、魚のにおいが苦手な方にも食べてもらいやすくなります。
酒蒸しは残されやすい
一方で、酒蒸しは残されやすい料理です。
酒蒸しは、味が薄く、身がぱさぱさしやすい料理です。しっとりして味がはっきりした料理の方が食べてもらいやすいので、魚料理に迷ったら、まずはソースやたれのある料理から試してみてください。
→ 高齢者が好む食事・苦手な食事|施設で人気のメニューと食べやすく出す工夫
食事の形ごとの魚の出し方

噛む力や飲み込む力に合わせて、魚料理の出し方を変えます。施設では、同じ魚料理を、食事の形に合わせて作り分けています。
一口大・きざみ
やわらかく仕上げた魚を、一口大や細かくほぐして出します。ほぐした身はばらけやすいので、あんやソースでまとめてください。
極きざみ・ミキサー食
ミキサーにかけるときは、皮を取ることが多いです。
ミキサーにかけるときは、水ではなく煮汁などを足すと、味が薄まりにくくなります。
→ ミキサー食がまずくなる本当の理由|水ではなく煮汁を使う
市販品を組み合わせる
毎回手作りが大変なときは、やわらかく作られた市販の介護食を使うのもひとつの方法です。
→ ユニバーサルデザインフードとは?4つの区分と市販の介護食の選び方
よくある質問

焼き魚が好きなのですが、どうすればいいですか
フライパンにふたをして蒸し焼きにすると、身がしっとりします。焼いたあとに、あんや大根おろしをかけるのもおすすめです。
フライは食べさせてもいいですか
アジフライなどのフライは、端の部分がかたくなりやすいので、切り落として出しましょう。施設でも端は切っています。
→ 高齢の親が食べにくい料理とは?6つの特徴と家でできる工夫
魚の缶詰は使えますか
使えます。さばの水煮缶などは身がやわらかく、手軽にたんぱく質がとれます。骨が残っていることがあるので、気になる方は取り除いてください。
→ 缶詰でたんぱく質を補う|高齢の親と食べる簡単アレンジ
魚のにおいが苦手なときは
タルタルソースやグラタンなどの洋風の味つけにしたり、しょうがやみそで煮たりすると、においが気になりにくくなります。
刺身は家で出してもいいですか
刺身は、噛み切りにくいものもあります。噛む力や飲み込む力に不安がある方は、かかりつけ医や言語聴覚士などに、食べてよいか相談してください。
まとめ|魚は選び方とソースで食べやすく

魚は、ちょっとした工夫で食べやすくなります。魚の種類・骨と皮・加熱のしかた・ソースやあんの4つを見直して、魚料理を食卓に残しましょう。
この記事の振り返り
- さばなど脂のある魚や、身のやわらかい白身魚を選ぶ
- 骨取りの切り身を使い、食べにくい皮は取る
- ふたをして蒸し焼きにするなど、しっとり焼く
- タルタル焼きやグラタン焼きなど、ソースのある料理が人気
- ミキサーは煮汁で伸ばして味を薄めない
次に魚を買うときは、「骨取り」「骨なし」と書かれた切り身を探してみてください。
※本記事の情報は一般的な工夫です。噛む力や飲み込む力、食事制限には個人差があります。食事の形については、かかりつけ医・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

