退院後の食事、何に気をつける?病院で聞いておきたい5つのこと
来週、母が退院します。病院では食べられていると聞きましたが、家で同じようにできるか不安です。
退院の前に、病院で聞いておいてほしいことが5つあります。退院してからでは聞きにくいので、今のうちにメモしておきましょう。
退院が決まると、ほっとする一方で「家で何を食べさせればいいの?」という不安が出てきます。病院では決められた食事が出てきましたが、これからは家で用意することになります。
このとき大切なのは、退院の前に、病院で食事のことを聞いておくことです。
この記事で分かること
- 退院前に病院で聞いておきたい5つのこと
- 見落とされやすい「栄養補助食品」のこと
- 家で同じ食事を用意するときの考え方
- そのまま使える退院時のメモ
高齢者施設で働く管理栄養士(JSDR認定士)の私が、病院から来られる方を受け入れる側として見ていることをお伝えします。
結論|退院前に「5つ」を聞いておく

病院と家では、食事の条件が違う
病院では、決められた段階の食事が、決まった時間に出てきます。家では、それを自分たちで用意することになります。
何を、どのやわらかさで、どれくらい出せばいいのか。それが分からないまま家に帰ると、手探りになってしまいます。
聞くのは、退院の前
退院してしまうと、病院の担当者に食事のことを聞く機会は少なくなります。入院しているうちに聞いておくのがいちばん確実です。
聞く相手
病棟の看護師、病院の管理栄養士、退院の調整をしている担当者などです。病院によっては、退院前に管理栄養士から食事の説明を受けられることがあります。希望を伝えてみてください。
病院で聞いておきたい5つのこと

- 食事のコード(主食とおかず、それぞれ)
- 飲み物のとろみの段階
- 食べていた量と、かかっていた時間
- 食べるときの姿勢と、介助のしかた
- 栄養補助食品を使っていたか
① 食事のコード
「やわらか食です」「ミキサー食です」と言われても、病院によって中身が違います。「学会分類のコードは何ですか」と聞いてください。
主食とおかずでコードが違うこともあるので、分けて聞くのがポイントです。
→ 嚥下調整食の学会分類2021とは?コードの見方を家族向けに解説
② とろみの段階
飲み物にとろみが必要か、必要なら「薄い・中間・濃い」のどれかを聞きます。使っていたとろみ剤の商品名と、1杯にどれくらい入れていたかも聞けると安心です。
→ とろみの濃度、なんとなくで決めていませんか|3段階の目安と作り方
③ 食べていた量と時間
「食べられていますよ」だけでなく、どれくらいの量を、何分くらいかけて食べていたかを聞いてください。家で食べる量が減ったとき、比べる基準になります。
④ 姿勢と介助のしかた
ベッドを何度起こしていたか、椅子に座って食べていたか。自分で食べていたのか、介助が必要だったのか。一口の量やスプーンの大きさも聞いておくと、家でそのまま再現できます。
⑤ 栄養補助食品を使っていたか
ここがいちばん見落とされやすいところです。次の見出しで、くわしくお伝えします。
「補っていた栄養」を見落とさない

施設で受け入れるときに困ること
病院から来られる方を受け入れるときに困るのが、食事の量は少ないのに、栄養補助食品などで栄養を補っていたケースです。それがなくなると、足りなくなってしまいます
ご家庭でも同じことが起こります。病院で食べていた食事の量だけを見て、それで足りていると思ってしまうのです。
聞いておきたいこと
- 栄養補助食品を使っていたか
- 使っていたなら、商品名と1日の本数
- 医師が処方したものか、病院の食事として出ていたものか
医師が処方していたものは、家でどうするかを主治医に確認してください。そうでないものは、市販品で続けられることがあります。
→ 栄養補助食品(ONS)の選び方|ドリンクかゼリーか
退院したら、体重を見る
足りているかどうかは、体重で分かります。退院した日の体重を記録しておき、月に1回測って比べてください。減り方が心配なときは、早めに相談を。
→ 食べてるのに低栄養と言われたら|原因と体重での確かめ方
家で同じ食事を用意するには

全部を手作りしなくていい
退院直後は、介護する側も慣れていません。宅配食や市販の介護食を組み合わせるほうが、長く続けられます。
→ 飲み込む力が弱くなった親に宅配食は使える?選び方と食楽膳
コードで選ぶ、出す前に一口
市販の介護食には、学会分類のコードが書かれているものがあります。病院で聞いたコードに合うものを選び、出す前にご自身が一口食べてかたさを確かめてください。
困ったら、ひとりで抱えない
かかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センターに相談してください。管理栄養士の訪問栄養指導を利用できる場合もあります。
そのまま使える退院時のメモ

この表を見ながら、病院で聞いて書きこんでください。
| 聞くこと | 書きこむ欄 |
|---|---|
| 主食のコード | コード( ) 例:全がゆ |
| おかずのコード | コード( ) |
| とろみの段階 | なし・薄い・中間・濃い |
| とろみ剤の商品名と量 | /1杯に( ) |
| 1回に食べていた量 | 主食( )割・おかず( )割 |
| 食事にかかっていた時間 | 約( )分 |
| 食べるときの姿勢 | 椅子・ベッド( 度) |
| 介助 | 自分で・一部介助・全介助 |
| 栄養補助食品 | 商品名( )1日( )本/処方・病院食 |
| 退院した日の体重 | ( )kg |
よくある質問

「普通の食事で大丈夫」と言われました
それでも、食べていた量と時間、栄養補助食品を使っていたかは聞いておいてください。食事の形が普通でも、量が足りていないことがあります。
コードを教えてもらえませんでした
「学会分類のコードは何ですか」と聞いてみてください。すぐに答えられない場合は、後で書面で教えてもらえるか頼んでみましょう。
退院してから、食べる量が減りました
環境が変わると、食べる量が落ちることがあります。体重を測り、減っているようなら早めにかかりつけ医やケアマネジャーに相談してください。むせが増えていないかも見てください。
→ 親が食事中にむせる|家族が見る5つの観察ポイント
病院と同じやわらかさにできません
家の調理で同じにするのは難しいものです。コードが書かれた市販品や宅配食を使えば、段階を合わせやすくなります。
ミキサー食を作るよう言われました
水ではなく煮汁で伸ばすと、味も栄養も落ちにくくなります。
→ ミキサー食がまずくなる本当の理由|水ではなく煮汁を使う
聞き忘れたまま退院してしまいました
ケアマネジャーに相談してください。病院とやり取りして、情報を確認してもらえることがあります。
退院のときに病院で確かめた食事の形は、「食事の形 お知らせカード」に書いておくと、ショートステイや外出先でも伝えやすくなります。無料でダウンロードできます。

まとめ|退院前に、メモを1枚
退院は、食事の担当が病院から家族に移る日です。その前に聞いておくだけで、家での不安はぐっと小さくなります。
この記事の振り返り
- 食事のことは、退院の前に病院で聞く
- 聞くのは、コード・とろみ・量と時間・姿勢と介助・栄養補助食品の5つ
- 食事の量が少なくても、栄養補助食品で補っていたことがある
- 退院した日の体重を記録し、月に1回測る
- 全部手作りしなくていい。宅配食や市販品を組み合わせる
退院が決まったら、この記事のメモを持って、病院で聞いてみてください。
※本記事の情報は一般的な工夫です。食事制限、アレルギー、嚥下状態には個人差があります。退院後の食事については、主治医・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

