相談者

スーパーの介護食コーナーで「容易にかめる」「舌でつぶせる」と書いてある商品を見かけました。どれを選べばいいのか分かりません。

とり子

それは「ユニバーサルデザインフード」の区分です。4つの区分の意味が分かると、市販の介護食がぐっと選びやすくなりますよ。

毎日の食事をすべて手作りするのは大変です。市販の介護食を上手に使えば、介護する家族の負担を軽くできます。けれど、種類が多くて、どれが親に合うのか迷ってしまいますよね。

そんなときの目印になるのが、ユニバーサルデザインフード(UDF)のマークと区分です。

この記事で分かること

  • ユニバーサルデザインフードとは何か
  • 4つの区分と、かたさの目安
  • 学会分類のコードとの関係
  • 選ぶとき・出すときに気をつけたいこと

高齢者施設で働く管理栄養士の私が、施設での使い方もあわせてお伝えします。

結論|UDFの区分で市販品を選ぶ

UDFの区分で市販品を選ぶ。器に盛ったやわらかいおかず、おかゆ、やわらかいみたらし団子

ユニバーサルデザインフードは、食べやすさに配慮して作られた市販の食品です。かたさの目安が4つの区分で書かれているので、親の噛む力や飲み込む力に合ったものを選ぶ手がかりになります。まずは、どんな食品なのかを見ていきましょう。

ユニバーサルデザインフードとは

日本介護食品協議会が決めた基準に合った、食べやすさに配慮した食品です。ふだんの食事から介護食まで、幅広く使えるように作られています。基準に合った商品には、専用のロゴマークがついています。

スーパーやドラッグストアで買える

レトルトのおかずやおかゆ、やわらかいおやつなど、さまざまな商品があります。スーパーやドラッグストアの介護食コーナー、通販などで手に入ります。

施設でもおやつに使っている

とり子

施設では、UDFのマークを目当てに商品を選んでいるわけではありません。でも、やわらかいおやつを選ぶと、UDFのマークがついていることがよくあります。たとえば、やわらかいみたらし団子を使っています。

やわらかいみたらし団子をおいしそうに食べる高齢の女性

お団子やお餅のように、ふつうは食べにくいおやつも、やわらかく作られた市販品なら楽しめることがあります。
→ 高齢者に餅を出していい?お正月に安全に楽しむ方法

UDFの4つの区分とかたさの目安

UDFの4つの区分。容易にかめる、歯ぐきでつぶせる、舌でつぶせる、かまなくてよいのごはんと魚の例

UDFは、噛む力と飲み込む力の状態を目安に、4つの区分に分けられています。「容易にかめる」から「かまなくてよい」に向かって、だんだんやわらかくなります。パッケージに書いてある区分の名前を見て、親に合うものを選びましょう。

区分かたさの目安ごはんと魚の例
容易にかめる少しかたいものは食べにくいやわらかごはん・焼き魚
歯ぐきでつぶせるかたいものや大きいものは食べにくい全がゆ・煮魚
舌でつぶせる細かくてやわらかければ食べられる全がゆ・魚のほぐし煮
かまなくてよい固形物は小さくても食べにくいペーストがゆ・魚のうらごし

「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」は噛める方向け

「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」は、ある程度噛める方向けの区分です。ふつうの食事に近い形で、少しやわらかくしたものです。

「舌でつぶせる」「かまなくてよい」は噛む力が弱い方向け

「舌でつぶせる」「かまなくてよい」は、噛む力や飲み込む力が弱くなった方向けの区分です。舌と上あごでつぶせるやわらかさや、なめらかなペースト状のものです。

とろみ調整食品もUDFの仲間

飲み物や食べ物に混ぜてとろみをつける「とろみ調整食品(とろみ剤)」も、UDFの仲間です。とろみの強さが統一された言葉で表示されています。
→ とろみの濃度、なんとなくで決めていませんか|3段階の目安と作り方

学会分類のコードとの関係

学会分類2021のコードとUDFの区分の対応。1j・2-1・2-2はかまなくてよい、3は舌でつぶせる、4は舌でつぶせる・歯ぐきでつぶせる・容易にかめる(一部)

病院や施設では、日本摂食嚥下リハビリテーション学会(JSDR)の「学会分類2021」のコードで食事の形を伝えます。UDFの区分とは作った団体が違いますが、おおまかな対応があります。親の食事のコードが分かっていれば、市販品を選ぶときの目安になります。

コードとUDF区分の対応

学会分類2021のコード対応するUDFの区分
1j・2-1・2-2かまなくてよい
3舌でつぶせる
4舌でつぶせる・歯ぐきでつぶせる・容易にかめる(一部)

参考:日本摂食嚥下リハビリテーション学会「学会分類2021(食事)早見表」

ぴったり一致するわけではない

学会分類とUDFの区分は、作られた目的や決め方が違うため、完全に同じではありません。表のコード4のように、ひとつのコードに複数の区分が当てはまることもあります。表は、あくまで選ぶときの目安と考えてください。
→ 嚥下調整食の学会分類2021とは?コードの見方を家族向けに解説

コードが分からないときは聞いてみる

親の食事のコードが分からないときは、主治医や、病院・施設の管理栄養士、言語聴覚士に聞いてみてください。退院のときに確認しておくと安心です。
→ 退院後の食事、何に気をつける?病院で聞いておきたい5つのこと

選ぶとき・出すときの注意

選ぶとき・出すときの注意。温度でかたさが変わる、一口確かめる、少量から試す

UDFの区分は便利な目安ですが、それだけで安心とは言い切れません。食べるときの状態で、かたさが変わることもあるからです。選ぶとき、出すときに気をつけたいことを紹介します。

温度でかたさが変わる

とり子

同じ商品でも、温度によってかたさが変わります。「かまなくてよい」と書いてあっても、冷めると「舌でつぶせる」くらいのかたさになっていることもあります。

かたさは、パッケージの表示ではなく、口に入るときの状態で決まります。温めるものはパッケージの表示どおりに温め、冷めないうちに出しましょう。

出す前に一口確かめる

同じ区分でも、商品によって食感は少しずつ違います。はじめての商品は、出す前に介護する側が一口食べて、かたさやまとまりやすさを確かめると安心です。

まずは少量から試す

親に合うかどうかは、実際に食べてみないと分からないこともあります。まとめ買いをする前に、いくつかの商品を少しずつ試してみてください。

よくある質問

ユニバーサルデザインフードについてよくある質問のバナー

UDFのマークがない商品は食べられませんか

そんなことはありません。マークがなくても、やわらかく食べやすい食品はたくさんあります。マークは、選ぶときの目安のひとつです。

どの区分を選べばいいか分かりません

親の食事のコードが分かれば、この記事の対応表が目安になります。分からないときは、主治医や管理栄養士などに相談してください。

やわらかい区分ほど安全ですか

そうとは限りません。やわらかすぎると、噛む力を使う機会が減ってしまうこともあります。今の親に合った区分を選ぶことが大切です。

宅配の介護食にもUDFはありますか

宅配食は、会社ごとに独自の区分で表示していることが多いです。学会分類のコードやUDFの区分との対応が書いてあるか、確かめてみてください。
→ 飲み込む力が弱くなった親に宅配食は使える?選び方と食楽膳

手作りの料理と組み合わせてもいいですか

もちろんです。主食は手作り、おかずを1品だけ市販品にする、といった使い方もおすすめです。
→ 高齢の親が食べにくい料理とは?6つの特徴と家でできる工夫

市販品と手作りを組み合わせた、やわらかい献立の例はこちらです。
→ やわらかく飲み込みやすい高齢者の食事|献立の考え方と施設の1日の例

まとめ|区分を目安に口に入る状態で確かめる

温めた介護食を器に盛り、笑顔で親に出す娘

ユニバーサルデザインフードの区分を知っておくと、市販の介護食を選ぶのがぐっと楽になります。区分は目安、最後は口に入るときの状態で確かめることが大切です。

この記事の振り返り

  • UDFは、食べやすさに配慮した市販の食品。マークが目印
  • 区分は、容易にかめる・歯ぐきでつぶせる・舌でつぶせる・かまなくてよいの4つ
  • 学会分類のコードとは、おおまかに対応している
  • 温度でかたさが変わる。冷めないうちに出す
  • はじめての商品は、一口確かめてから、少量で試す

次の買い物では、介護食コーナーで、パッケージのUDFのマークと区分を探してみてください。

※本記事の情報は一般的な内容です。噛む力や飲み込む力には個人差があります。食事の形については、かかりつけ医・歯科医師・管理栄養士・言語聴覚士などにご相談ください。

参考:日本介護食品協議会「ユニバーサルデザインフード」/日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」

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高齢者施設で働く管理栄養士です。 日々の現場では、ご家族から食事量の低下やむせ、介護食の悩みについて相談を受けることがあります。 頑張って手作りしているからこそ、つらくなる…そんなご家族に、少しでも力を抜いてもらえる情報を届けたい。 JSDR認定士として、専門知識と現場の経験を、優しく分かりやすくお伝えします。